SIGNAL 新海一朗・徳田純一(オフィスデザイナー)

SIGNAL Inc.の新海さん(左)と徳田さん(右)

SIGNAL Inc.の新海さん(左)と徳田さん(右)

代官山TENOHAなどを手がけるSIGNAL Inc.の新海さん・徳田さんにオフィスデザインについてのお話を伺いました。
 
新海一朗 SIGNAL Inc.
1979年東京生まれ。千葉大学大学院デザイン専攻工学修士。
卒業後、インテリアの設計・施工会社にてプランナーとして各種商業施設や公共空間のプロデュースに携わる。
その後独立し、フリーランスのインテリア・グラフィックデザイナーとして活動後、大学時代の同級生である徳田純一氏とSIGNAL Inc.を共同設立。現在はオフィスや店舗のデザインを中心に展開している。
 
徳田純一 SIGNAL Inc.
1979年東京生まれ。千葉大学大学院デザイン専攻工学修士、HDKヨーデポリ大学(スウェーデン)デザイン学修士。
System-O Design Associatesにて外資系オフィスのデザインに携わった後独立、フリーランスを経て、大学時代の同級生である新海一朗氏とSIGNAL Inc.を共同設立。現在はオフィスや店舗のデザインを中心に展開している。
代表作の一つである、代官山TENOHA。SIGNAL Inc.のオフィスもこちらにある。

代表作の一つである、代官山TENOHA。SIGNAL Inc.のオフィスもこちらにある。

ーお二人は大学時代のご友人という関係なんですよね、どちらかが一緒にやろうよと声をかけたりしたんですか?
 
最初から会社として一緒にやろうと声をかけた訳ではないんです。
お互い今までのキャリアが店舗系とオフィス系と違ったので、足りないところを補い合える関係でした。
たとえばオフィスでいえばレイアウトモジュールや、セキュリティの考え方や、社内のコミュニケーションなどそれぞれ特別なノウハウが必要になるので。一緒の仕事や案件を積んでいくうちに自然と組んでいました。
 
 
ーユニットで活動されていますが、お二人にはそれぞれ得意分野があるんでしょうか?
 
デザインテイストはそれぞれ違うのですが、SIGNALとしては二人とも基本的にお客様のやりたいことを引き出すことを重視しています。
お客様のやりたいこととデザインがマッチした時に良い空間が生まれると思っています。お客様のニーズを上手くひきだして、形にしてあげる感じです。
お互いに切磋琢磨しながらアイデアを出して協力し合っています。
 

SIGNALとして、どのようなプロセス・着眼点でオフィスデザインを作り出していくのか。

 
ーどんなところに着眼してオフィスデザインを考えていくのでしょうか?
 
オフィスデザインはレイアウトが一番大事だと思います。
クライアントから空間に対して何も要望が無かったとしてもレイアウトへの要望は重要だと考えています。そこから働き方をどうしたいかを聞きますね。
 
そして僕らはクライアントがこうすべきって思っていても、逆にこうの方がいいのでは?という提案をすることは多いです。
僕らの目線のちょっとお節介な感じの提案ですね、笑
やっぱり違うとクライアントが思ったら戻しますが。使う人が満足しないと使い勝手が悪いので、クライアントとのディスカッションはしっかり行います。
 
 
ーレイアウト無しではデザインは創れない、望む空間にはならないと。
 
日本の場合は高さが2500mmとか2800mmっていう物件がほとんどなので、なおさら平面上でどういった空間にしていくかが重要になって来ると思います。
もちろん天井が抜ければ縦の空間が変わるのでイメージは大きく変わっていきます。
 
天井の高さがあれば、ポイントが変わってくると思うのですが。限られた高さのなかでは、平面上のサイズをどうするかという違いが大きいかなと思いますね。
デザインや使用する素材などはコンセプトによって変えています。物件ごとでデザインの振り幅は様々ですね。
ロボットが生産ライン上で出来上がっていくという過程をデザインに落とし込んだ、ポケラボのオフィス。

ロボットが生産ライン上で出来上がっていくという過程をデザインに落とし込んだ、ポケラボのオフィス。

例えば、ポケラボというクライアントでは「トイファクトリー」というコンセプトでオフィスをデザインしました。ライン状に並んだデスクは工場の生産ラインがモチーフです。そこから創りだされたプロダクトがエントランスエリアに繋がっていく、といったようなストーリーにしています。
 
ポケラボにはロボットのロゴがあったので、小さい立体のロボット達がラインに沿ってだんだん組み立てられ、完成したロボットになるというストーリー性を出していきました。完成した3Mちかいロボットがエントランスにどんと置いてあります。生産ラインから少し移動すると組み立て途中のロボットがあったり、ギアなどの部品もオフィス内に散りばめました。
 
 
ーギアとかねじぐらいの部品からだんだんと…結構ストーリー性持ったオフィスが多いですか?
 
そうですね、明確なストーリーとまでは言いませんが、なにかしらコンセプトがないと、と思っています。デザインを考えるにあたっては社長さんの私物からもヒントを得たりします。マーケティングの会社だったらマーケティングのデータがモチーフのアイコンやサインを置いたりしていますね。
 
細かい所にも拘って、いろいろと裏に意味を込めてますね。和テイストのデザインであればサインとかも縦書きにすれば少し和の印象になるかな…とか、細かく考えながらデザインしています。なかなか地味な作業の繰り返しですが、クライアントへの提案と手直しを繰り返しながら、でもそれによって良い空間に近づいていきます。
 
 
ー実際に色々な事例を見ていると結構振り幅があるというか、色々な表現に挑戦されているなと思いました。
 
そうですね、クライアントのニーズを引き出しながらデザインしていることもあり、高級なデザインからカジュアルなカフェっぽいデザインまでいろいろな案件があります。
 
 
ークライアントさんから、もう少しこうして欲しいという要望は多いですか?
 
細かい要望を持っているクライアントさんの方が多いかもしれません。もし要望が無ければ完全お任せにしてもらうのが良いのかなと思います。
中途半端はうまくいかない事が多いかもしれません。どちらかというと僕たちも厳しいクライアントの方がいいです。
それだけクライアントも空間に対する想いが詰まっているということだと思います。
 

住宅・オフィス・店舗デザインの違い、オフィスデザインと採用について

代官山TENOHAにはオフィスだけでなく、住宅や商業施設も併設されている。

代官山TENOHAにはオフィスだけでなく、住宅や商業施設も併設されている。

ープロジェクトの企画段階から担当された代官山TENOHAは複合施設になりますが、オフィスデザインと店舗・住宅のデザインの違いはレイアウト以外にもありそうですね。
 
そうですね。一番の違いは過ごす時間じゃないでしょうか。住宅は人がずっと暮らしていく場所だから、ライフステージをしっかり考える必要がありますが店舗はそれに比べたら滞在時間がすごく短い。入店したその一瞬のカッコよさや、商品がどう見えているかが大事です。
 
オフィスは両者の中間だと思っていて、働く人がどういう気分で働けるかが重要です。たとえば働く人の一日のオンオフがどうなるか、みたいなところを考えていくのがポイントかなと思います。
 
 
ー数年前は特に、オフィスも居心地をよく見せるためにサードプレイスっぽく創るみたいなのが流行っていました。
 
明らかにカフェみたいなデザインが多かったのですが、それは一段落したのかなと思っています。
あまり遊びすぎないくらいが良いという考え方が増えてきているのかなと思いますね。
ありきたりなオフィスは嫌だけど、でもやっぱり基本的には働く場だよねっていう。
 
 
ーなるほどですね。しかし今でも会社のコンセプトを全面に出した個性的なオフィスもありますよね。
 
もちろんそういうオフィスもあると思います。たとえば社長さんの人柄とか社風にオフィスデザインが合っていたら良いのかなと。
社長のカリスマ性に惹かれて入社した人が多い会社は結局同じような考え方や趣味を持った人が入っているわけだから、個性的な空間でもそれは社員の居心地が良い空間と言えると思います。
 
 
ーオフィスデザインは採用のためにも重要です、最近のオフィスデザインのトレンドについてどのように感じますか。
 
カフェみたいなオフィスが流行っていたときは、採用するための話題作りとしてあえてそういったオフィスを創っていた感じもありました。でもやっぱり「働くそのもの」の内容が魅力的とか、そういったデザインを求めるようになってきたかもしれません。原点回帰しつつも適度な遊びゴコロが求められているんでしょうね。
 

デザインのその先、SIGNALの目指すもの。

ーオフィスデザインの仕事をする上で意識していることはありますか?
 
楽しんで仕事をすることですね。
自分達も楽しくやりたいし、お客さんも楽しくなるような、働く人たちが満足するような空間作りを意識しています。自分達がデザインしたオフィスで働く人がハッピーになれば、自然とその会社の業績もあがると思っています。
 
特にこのTENOHAのコワーキングスペースの様に、いろんな方が集まって楽しく仕事をしているのを実感すると、自分が担当したデザインは成功だったかなという気持ちになりますよね。
 
 
ーオフィスデザインで楽しい瞬間はどんな時ですか、また目指しているものは?
 
変化に富んだというか、刺激があるものを作りたいなと思っています、そういったものは作っていて楽しいですね。
最近はその中でも、元々あったデザインを活かすのが楽しいと思う様になってきました。実は「代官山TENOHA」の一部はレストランとアパレルショップの居抜きなんです。
 
居抜き物件を活かすという案件は完全に自分の好きには出来ません、でも、自分たちの発想になかったデザインができることがあるんです。
以前は居抜きはあまりやりたくなかったのですが、最近では元々の空間ののデザイナーさんと対話をしているような気分や、元からあったデザインから意外な使い方を発見できる面白さを感じられるようになりました。
 
目指しているのは、空間を作ることで空間から生まれる印象やフィーリングをデザインする事です。
オフィスに来た人が家族や友達に「今日行ったオフィスかっこ良かったんだよね」って話してくれたら、もう最高です。そういう空間を創っていきたいですね。
働いている方の「その先の何か」を創りたいなといつも思っています。
 
 
 
 
TENOHA DAIKANYAMA
TENOHA DAIKANYAMA-04
 
 
 
GameWith
GameWith-01
 
 
 
Money Forward
Money Forward-04
 
 
 
オフィスデザインだけでなく、有名店舗のデザインも幅広く担当しているSIGNALのお二人。
代官山TENOHAの様に大型複合施設の企画段階から参加したり、ユニットととしての強みを感じるデザイナーさんだと思いました。
 
The following two tabs change content below.
Yuya Kiuchi

Yuya Kiuchi

クックパットやレシピ本を片手に手料理でおもてなしをするのが好きで、offie編集部内では料理長としての一面も。 ビールが好きで、美味しいお店は佇まいを見れば分かる。