スマートホームの扉を開く Qrio株式会社

市場の拡大が期待されるIoT(Internet of Things)領域に華々しく登場したQrio株式会社。
 
大手企業のオープンイノベーションを促進するベンチャーキャピタルWiL, LLCとソニーが共同出資して誕生したハードウェア・スタートアップだ。
 
成長企業の裏側に迫るインタビュー企画として、恵比寿のオフィスを訪問してお話を伺った。
 
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Qrio株式会社
http://qrioinc.com/
 
 
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エントランス。スマートロックのデモ機と受賞したトロフィーが並ぶ。
 
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手前がスタッフ同士のミーティングにも使われるオープンスペース。ブラインドの奥は応接室になっている。

エントランスに対して、左側には開放感のあるオープンスペース。
右側に並んだ大きなデスクに向かうスタッフからは、成長企業ならではの勢いを感じた。
 
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開発チームは大きなデスクに集まって作業する。コミュニケーションが生まれやすい環境だ。
 
-どういったスペースの分け方をしていますか?
 
オープンスペースと執務室で大きく分けています。
ずっと自分の席にいるとスタッフ達も集中力が途切れてしまうようで、あえてオープンスペースに集まったり、自由に活用していますね。
 
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開発用のモックアップや製品が並ぶ。ハードウェアスタートアップならではのオフィス風景だ。
 
-オフィス全体に活気がありますね。
 
実はオフィスの内装に関しては、前の入居者が使っていたままの居抜きなんですよ。こちらで準備したのは椅子と棚ぐらい。
前のテナントの上場に伴う拡張移転で空いたオフィスですから、良い「気」みたいなものがあるかもしれませんね(笑)
 
-ユニークな成り立ちの企業ですが、社員の構成はどうなっていますか。
 
正社員のほか、今でもソニーの開発メンバーの席もあり、週の半分程度はQrioのオフィスで仕事をしています。全体では20名ほどのスタッフがいて、開発サイドとビジネスサイドで半々の割合です。
一般的な企業だと、この2つは別々の部屋で働くと思うんですが、当社の場合は全てオープン。専門領域を越えて、スタッフ同士の距離が近いのが魅力だと思います。
 
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居抜きで入居し、ほとんど前テナントのものを引き継いだという内装。
 
近年IoTを家庭に導入する「スマートホーム」というキーワードが話題になっている。
 
その中でも同社は「インターネットとものづくりで、家の中をより便利に楽しくする」というコンセプトを掲げ、消費者が親しみやすく便利に使える製品づくりを目指しているという。
 
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Qrio設立の経緯と今後の展望について、スマートロック事業開発部シニアマネージャーの高橋諒氏にお話を伺った。
 
-会社の成立と、開発の経緯を教えてください。
 
WiL側がソニーに提案してプロジェクトが始まりました。ソニーの技術を活かしたインディペンデントな別会社を設立すると同時に、2014年からスマートロックの試作を始めました。
 
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主力商品のQrio Smart Lock。
 
-クラウドファンディングサイト「Makuake」も活用されていたようですが。
 
開発が進み、広報が出来る段階になるとすぐにクラウドファンディングも始めました。
Makuake史上3位(当時)となる2700万円以上の支援をいただき、大きな反響を得ることができました。
 
 
-多くのスマートロックが登場していますが、競合製品との違いは何でしょうか。
 
正直に言うと、現時点では製品そのものの性能に大差はありません。これから多様化が期待される市場なんです。
その上でQrioの特長は、ユーザの暮らしが便利になるような機能が多いところです。
 
ーユーザビリティにこだわったわけですね。詳しくお聞かせ下さい。
 
まずハードの面で言えば、Qrio Smart Lockは圧倒的に対応可能な鍵が多いです。
他社製品は鍵を覆い被すものが主流ですが、現実はドアの鍵の周りには造作がしてあったり、
鍵そのものの形状も様々ですよね。丸ごと覆い被す形式では、対応できないことが多いんです。
その点、当社は「ブリッジ型」という横からアプローチする形式なので対応数が非常に多い。
 
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「ブリッジ型」を採用し、様々な形状のサムターンに対応できる。
 
-ユーザにとっては導入時の不安が解消されますね。
 
そうですね。「他社製品は付けられなかったけど、Qrioだけは付いた」というお客様の声も寄せられています。
またソニーの確かな製造技術もあって、物として非常に質感高く仕上がっています。
2015年にはグッドデザイン賞を頂きました。
 
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小さなボディに高い機能を収めたシンプルで合理的なスタイリングが評価されている。
 
-ソフトの部分にはどんな工夫が?
 
セキュリティーに関しては性質上、一番求められるところですので気を使いました。
海外製品などの多くはインターネットを経由してサーバー上で鍵の管理を行いますが、「Qrio Smart Lock」は鍵となる情報を携帯端末の中で管理するので、そもそも攻撃を受ける可能性が低くなり、サーバから情報流出するリスクも大幅に軽減されます。
高いセキュリティを維持できるからこそ、アプリを使って鍵を簡単にシェアできる点が強みになります。
 
専用アプリを使い、鍵の開閉などが直感的に操作できる。
 
ーアプリについて教えてください。
 
私たちはスマートフォンをベースにしてサービスを考えているので、アプリによって様々な機能が実現します。
日々の解錠だけでなく、鍵のシェアや有効期限の設定、開閉履歴の確認などもアプリ上で行えます。また解錠から一定時間で鍵が閉まるオートロック機能も設定できます。
 
今はβ版ですが、ユーザの位置情報を利用して、帰宅してロックと通信できる距離に入ると自動的に解錠される「手ぶらで解錠機能β」などもあります。アプリを立ち上げて操作をしなくても、スマートフォンをドアに近づけるだけで自動で解錠します。
 

家庭向けに普及しつつあるIOT製品だが、働く環境との親和性は。

-SOHOとスマートロックの相性は?
 
1〜10人のオフィスというのは、スマートロックが最も効果を発揮する環境の一つです。
スポットやアルバイト全員分の合鍵を作るのは不合理ですし、紛失のリスクもあります。
 
当社の製品ならば期限や繰り返しを設定して、必要な時だけ鍵をシェアすることができます。
しかし通信の都合上、解錠に2-3秒かかるので、短時間に何度も開け閉めするような場所には向いていないかもしれません。
 
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家庭向けに洗練された機能はSOHOでも活躍が期待できそうだ。
 
ー最後に今後の展望をお聞きかせください。
 
今はスマートホームへの過渡期なので、当社を含め、既存の住宅設備にデバイスを後付けすることでスマート化させていますよね。
 
将来的には新築の住宅に組み込むことが理想で、その時にはユーザが自分の家に欲しい機能を選んで、自由に組み合わせられるような商品展開ができると良いですね。
 
 

Editor's Note

ベンチャーと大企業の長所を併せ持った「日本型イノベーション」企業として、鮮烈にデビューしたQrio株式会社。
 
2015年が「スマートロック元年」と呼ばれているように、これからも日本のスマートホーム化を牽引する存在として目が離せない。
 
 
Qrio株式会社
東京都渋谷区恵比寿西2-3-4 東新産業ビル3F
ベンチャーのスピード感と大手メーカーのノウハウや基盤を兼ね備えた体制で、IoT製品の開発・製造・販売等及びその運営サービスの提供をする。出資比率はWiL Fund I,LPが60%、ソニーが40%。2015年に「Qrio Smart Lock」がグッドデザイン賞を受賞。
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offie編集部

オフィスデザインメディア【offie(オフィー)】編集部です。 IT企業のオフィスデザインとはたらく人をご紹介しています。